アンリミテッド・ルールブック、Jonny.B.Goodです。
今回は何か身内からよく聞かれる優先権についてのお話。
「優先権よくわからん」とか言われますが、思いの外簡単ですよコレ?
覚えとく大きな区分としては
- チェーンの積み上げの際の優先権移動
- スタンバイフェイズ等特定のフェイズで起動する誘発効果の起動に関する優先権移動
といったところですので順に解説していきます。
(以下、各種効果の分類を誘発効果や誘発即時効果と分けていますが、厳密には魔法罠にそのような分類はありません。ここではそれらの効果についてはモンスター効果であれば誘発効果に分類される、といった基準で分類していきます。)
チェーン積み上げの際の優先権移動
「優先権」と言われて真っ先に想像すると思うのはこちらですね。
カードの効果の発動に対してさらにカードの効果を発動していく場合です。
ここにおける基本ルールは以下になります。
- チェーンの最初に来るのは発動可能な全ての強制効果
- その次に発動可能なのは誘発効果
- その次に発動可能なのが誘発即時効果および非公開の誘発効果
これらに加えて、
「1,2については該当する効果のうちターンプレイヤーの効果を先に全て発動し、その後に非ターンプレイヤーのすべての効果を発動すること(2の誘発効果については発動したいもののみ)」
「3についてはターンプレイヤーから交互に発動したいものがあれば発動していくこと」
を覚えてれいればそれで終わりです。
こっちについては良く知られていると思うので大丈夫でしょうね。
スタンバイフェイズ等特定のフェイズで起動する誘発効果の起動に関する優先権移動
問題なのがコレ。
とはいえ分かってしまえば何ということもないんですがね。
ひとまず「スタンバイフェイズ等特定のフェイズで起動する誘発効果」(長ったらしいので以下「フェイズ誘発」としておきます)が何のことかは簡単に示しておきましょう。
これはわっちの大好きな《地獄門の契約書》の「自分スタンバイフェイズに発動する。自分は1000ダメージを受ける。」や《ドラゴンメイド・ラドリー》の「自分・相手のバトルフェイズ開始時に発動できる。このカードを持ち主の手札に戻し、自分の手札・墓地からレベル7の「ドラゴンメイド」モンスター1体を選んで特殊召喚する。」といった、主にスタンバイフェイズ・バトルフェイズの開始時および終了時・エンドフェイズのタイミングを指定して発動する誘発効果を指します。
これらのフェイズ誘発については、ターンプレイヤーが先に処理し尽くすことができます。
これについては文面で説明するより実際の盤面を考えた方が分かるはずなので例を挙げましょう。
ターンプレイヤーAのフィールドに《ドラゴンメイド・ナサリー》《ドラゴンメイド・ラドリー》、墓地に《ドラゴンメイド・エルデ》《ドラゴンメイド・フルス》が、非ターンプレイヤーBのフィールドに《ドラゴンメイド・ティルル》《ドラゴンメイド・パルラ》《能力吸収石》(魔力カウンター:0)、墓地に《ドラゴンメイド・フランメ》《ドラゴンメイド・ルフト》が存在し、バトルフェイズに入りました。
この時各フェイズの最初はターンプレイヤーAに優先権があるので初めに上記カードの効果を発動できるのはターンプレイヤーAで、《ドラゴンメイド・ナサリー》または《ドラゴンメイド・ラドリー》の効果を発動できます。
なのでターンプレイヤーAは《ドラゴンメイド・ナサリー》の効果を発動し《ドラゴンメイド・エルデ》を特殊召喚しました。(《能力吸収石》の魔力カウンター:1)
この効果の解決後、次に『ドラゴンメイド』の変身を行えるのはターンプレイヤーAです。
《ドラゴンメイド・ラドリー》が変身することにより《能力吸収石》の魔力カウンター:2となり、非ターンプレイヤーBの『ドラゴンメイド』は効果を発動できなくなります。
一応《ドラゴンメイド・ナサリー》の変身直後にカード効果の発動タイミングはありますが、ここで発動できるのは《ドラゴンメイド・ナサリー》の効果処理をトリガーとする効果か誘発即時効果のみですので非ターンプレイヤーBの『ドラゴンメイド』の変身タイミングではありません。
要はここではスペルスピード2以上の効果の発動タイミングであるので罠のフェイズ誘発以外のタイミングではありません。
変身直後にカード効果の発動タイミングでのカード効果の解決後或いはこのタイミングでの互いの優先権放棄の後に改めてフェイズ誘発の発動タイミングがやってくるのです。
このため、非ターンプレイヤーBの『ドラゴンメイド』が《ドラゴンメイド・ラドリー》の変身前に無理矢理割り込むことはできません。
しかし、無理矢理でなければ割り込むことが可能です。
それは《ドラゴンメイド・ナサリー》の変身後に改めて訪れたフェイズ誘発の発動タイミングでターンプレイヤーAが優先権を放棄した場合です。
この時は非ターンプレイヤーBの『ドラゴンメイド』の変身タイミングになり、《ドラゴンメイド・ティルル》《ドラゴンメイド・パルラ》どちらかが変身できます。
この例では全体で2体目の『ドラゴンメイド』が変身した時点で《魔力吸収石》の魔力カウンターが溜まりきって他のモンスター効果が発動できなくなるのでできませんが、ない場合には非ターンプレイヤーBの『ドラゴンメイド』の変身後に再度ターンプレイヤーAの『ドラゴンメイド』の変身タイミングになります。
しかし、仮に優先権を渡された非ターンプレイヤーBが何もせず優先権を放棄するとバトルフェイズのスタートステップが終了してしまうので、残った《ドラゴンメイド・ラドリー》は変身できないことになります。
以上をまとめると、フェイズ誘発はターンプレイヤーが先に全てのフェイズ誘発を処理してもよいということになります。
因みに、フェイズ誘発については『契約書』等の強制効果であるものもありますが、それらは任意効果のフェイズ誘発より先に処理しなければならないということも、それらの効果処理を行っていない状態で優先権を放棄することはできないということもありません。
強制効果のフェイズ誘発の前に任意効果のフェイズ誘発や誘発即時効果を発動しても問題ありませんし、任意効果のフェイズ誘発の前に誘発即時効果を発動しても問題ありません。
強制効果のフェイズ誘発を残した状態で一旦優先権を相手に渡して動向を窺うこともできます。
しかし、強制効果のフェイズ誘発は必ず処理しなければならないので、一旦優先権を放棄し相手も放棄したとしても、未処理のフェイズ誘発(強制任意問わず)を処理しなければなりません。
知り合いから聞かれた事例ですが、
ターンプレイヤーAのフィールドにこのターン特殊召喚した《閃刀姫-シズク》、非ターンプレイヤーの墓地にこのターン送られた《烙印竜アルビオン》が存在するエンドフェイズです。
まずターンプレイヤーAに優先権があるので《閃刀姫-シズク》の効果を発動、墓地に存在しなかった《閃刀機-シャークキャノン》をサーチ。
その後《烙印竜アルビオン》の効果発動前に《閃刀機-シャークキャノン》を発動できるので《烙印竜アルビオン》を除外して効果を発動させないということが可能です。
かなりざっくりした説明かと思いますが概要はこの程度です。
これらが分かっていれば優先権について心配することはないと思いますので頑張ってください。(他人事)