Pendulum Dependence

ペンデュラム依存症患者による気紛れ更新遊戯王ブログ。主に手元のテーマについて垂れ流します。偶に推しの事書くかも。

不発と空撃ちと蛇

最近ルール記事書きと化し始めています、Jonny.B.Goodです。

 

今回はこれまたややこしいと思われがちな「不発」と「空撃ち」についてのお話。

思われがちなだけで別に難しいことないです。

ただそこそこパターンがあるので順にみていきましょう。

※9期以降のテキスト整備が進んだカードテキストを元に解説します。それ以前のカードはテキストが滅茶苦茶な可能性があるのでこの先の記載通りとならないものもあるかと思います。また、『イグナイト』のP効果のように9期以降でもごく一部には例外(特殊裁定…というかテキスト不備?)もあります。まぁ9期以降はホントにごく僅かです。

 

 

不発

基本的な不発

まず所謂「不発」とは何なのか。

「不発」自体公式用語ではないのですが、言ってしまえば「チェーンされた効果処理の結果で処理に必要なものがなくなった」ことで起きます。

かなり簡単な例としては、《死者蘇生》の対象を《D.D.クロウ》で除外された、ですかね。

これは《死者蘇生》の対象が墓地から消滅したための不発です。

また、《増援》にチェーンした《二者一両損》で唯一のサーチ先がデッキから墓地へ送られた、というのも不発です。

《光の援軍》のコスト3枚でデッキ内の『ライトロード』が全部落ちた…なんてのも同じですね。これに至っては自己完結しちゃってますが。

これはデッキ内のサーチ先が消えたための不発になります。

基本的にはこの「他のカード効果の影響で処理に必要なものがなくなった」というのがよくある不発というものです。

 

もう一つ、「永続カードが効果処理時にフィールドに存在しない」というのも「不発」と言えます。

永続カード、つまり永続魔法、装備魔法、フィールド魔法、永続罠、Pゾーンのカードですね。

リビングデッドの呼び声》がチェーンされた《サイクロン》で無に帰すのは有名ですよね。

 

対象の「数」による不発

ちらほらややこしいとされていそうな不発パターン。

分かりやすいのは《ゴッドバードアタック》と《毒蛇の供物》でしょうか。(記事タイトルの蛇伏線回収。)

ゴッドバードアタック》は鳥獣族をリリースしてカード2枚を対象に破壊する効果、《毒蛇の供物》は爬虫類族1体と相手のカード2枚を対象に、その爬虫類族と相手のカード2枚を破壊する効果です。

ゴッドバードアタック》の場合は破壊対象とした2枚の内1枚だけ先にフィールドを離れても、残りの1枚は破壊されます

一方で《毒蛇の供物》の場合は対象の相手のカードが1枚先にフィールドを離れても、対象の爬虫類族が先にフィールドを離れても不発になります

この違いは、具体的に処理に必要な枚数が指定されているか否かにあります。

ゴッドバードアタック》は対象は2枚ですが、処理は「そのカードを破壊する。」であり、《毒蛇の供物》は対象は計3枚、処理は「その自分の爬虫類族モンスター1体と、その相手のカード2枚を破壊する。」です。

前者は枚数に指定がないため1枚でも残っていれば破壊の処理は行われますが、後者は破壊する枚数が指定されているため1枚でも欠けると不発になります。

《奈落の落とし穴》も発動条件と共に、効果処理の部分も「攻撃力1500以上のモンスター」と指定されているので、効果処理時に攻撃力が1500を下回っていると不発になります。

因みにほぼない事例ですが、《毒蛇の供物》の場合チェーンされた《DNA改造手術》で自分のモンスターを爬虫類族以外に変更された場合も不発になります。自分の対象とした爬虫類族モンスターを破壊するよう効果処理部分で指定されているからです。

 

コストが関わる不発

ごく一部のカードですが、発動コストにしたカードがその効果処理時に参照できなくなった場合にも不発になるものがあります。

最近だと《異界共鳴-シンクロ・フュージョン》は効果処理にてコストとして墓地へ送った「墓地のモンスター」のステータスを参照するため、チェーンしてコストのモンスターが墓地から離れると参照不能で不発になります。

 

「と」と「及び」の違い

では更に別のパターン。

自分フィールドに《マシンナーズ・カーネル》、相手フィールドにモンスターは《ワイト》のみが存在する時に、《マシンナーズ・カーネル》の効果を自身を対象に発動。それにチェーンして《フレンドリーファイア》を発動して《ワイト》が破壊されました。

《マシンナーズ・カーネル》の効果は、対象のモンスターとその攻撃力以下の攻撃力を持つ相手フィールドのモンスターを全て破壊しますが、その効果処理時に相手フィールドに対象のモンスターの攻撃力以下の攻撃力を持つ相手モンスターがいなくなったこの場合不発になります。

 

また、似たようなカードに《氷水底イニオン・クレイドル》があります。

こちらは自分の水属性モンスター1体を対象として、対象のモンスター及び相手フィールドの全ての表側表示モンスターの攻撃力を、対象のモンスターの元々の攻撃力分ダウンする効果です。

こちらは《氷水底イニオン・クレイドル》の効果処理時に相手モンスターがいない場合でも対象のモンスターの攻撃力は下がります。

 

《マシンナーズ・カーネル》と《氷水底イニオン・クレイドル》、この2つの効果の違いは「対象のモンスター相手の○○○のモンスターに△△△する」となっているか「対象のモンスター及び相手の○○○のモンスターに△△△する」となっているかの部分です。

前者パターンである《マシンナーズ・カーネル》の場合は、破壊範囲内の相手モンスターが存在する必要があります。

後者パターンである《氷水底イニオン・クレイドル》の場合は、相手は最悪必要ありません。

 

「AとB」の場合はAとBそれぞれが存在しないと不発、「A及びB」の場合はAとBの集合に該当する存在がいれば処理されます。(今回の例では双方対象モンスターの攻撃力を参照するため、Aに相当する対象モンスターの存在は処理に必須になります。)

ただし、発動条件として「A及びBが存在する」と指定される際はAとB両方が必要です。

 

余談:不発とタイミング

ここまで不発についてみてきましたが、ちょっと追加でお話を。

効果が不発になったとしても、その効果処理は存在していることになります。

つまり、タイミングを逃す要因になる、ということです。

例えば、《光竜星-リフン》の召喚時に《断絶の落とし穴》を発動、更にチェーンして《サンダー・ブレイク》を《光竜星-リフン》を対象に発動した場合、チェーン2の《サンダー・ブレイク》で《光竜星-リフン》は破壊され、《断絶の落とし穴》は不発となりますが、《光竜星-リフン》はタイミングを逃して効果を発動できません。

《断絶の落とし穴》は不発ですが、言わばその効果の不発処理を行っていると解釈しておけば理解できるかと思います。

チェーン2で発動を無効にした場合はタイミングを逃す要因にはならないので混同しやすいのでしょうか…

 

余談:一部のみ処理される不発

これまた本題とは少し離れますが、対象を取る効果において一部だけ処理されて一部が不発となる場合があります。(これを不発というのかはさておき。)

 

例えば《氷水のティノーラ》。

コストで手札を捨て、効果処理にて自身を墓地へ送って対象とした墓地のモンスターを蘇生する効果ですが、対象のモンスターが墓地から消えた場合でも、《氷水のティノーラ》自身は墓地へ送られます。

対象を取る効果で対象不在となっても、対象のカードが効果処理に関わる箇所までは処理されます。(不発というより打ち切りと言ってもいいかもしれませんね。)

 

また、《マシンナーズ・ラディエーター》は墓地のモンスターを特殊召喚して、フィールドの対象モンスターを破壊しますが、特殊召喚ができなかった場合、破壊処理は打ち切られます。

処理としては特殊召喚と破壊は同時処理ですが、特殊召喚が先に記載されているのでそちらが正常に処理できなければそこで打ち切りとなります。対象がフィールドに健在であっても。

これは「その後、○○○する。」といったものでも同じですね。

要は記載順に処理していってバグが起きたら打ち切りということです。

 

ただし、《ヴァレルソード・ドラゴン》のように一部は複数の効果処理が直列ではなく並列に設定されているものもあります。

並列になっている効果は複数の処理ライン上を進んでいるようなもので、テキスト上先に記載されているAのラインでバグが起きてもBのラインは正常に進行していくわけです。

なので《ヴァレルソード・ドラゴン》は対象モンスターを守備表示に変更できなくても2回攻撃を獲得できます。

まぁ見分け方は簡単で、「○○○する。△△△する。」と記載されていれば並列です。

 

それと、不発とはまた少し違うんですが、先の例の《マシンナーズ・カーネル》の効果で、破壊範囲内の相手モンスターが全て効果で破壊されない耐性を持っていたりした場合、対象のモンスターと相手のモンスターの片方が破壊できないですが、残りの破壊可能なものは破壊されます。言うならば「一部のカードに対して不発だがそのほかには有効」ってとこでしょうか。

《毒蛇の供物》のような枚数指定タイプも同じです。効果処理側の数の指定はあくまでもその効果の処理に入った時点で対象が存在するかで不発判定するだけです。

 

空撃ち

禁止行為の空撃ち

不発とよくセットで語られる「空撃ち」。

これはルールで原則禁止されている行為です。

簡単に言えば「効果処理ができない状態で効果を発動すること」ですね。

簡単な例は、デッキに戦士族が1体もいないのに《増援》を使う、フィールドにモンスターがいないのに《ブラック・ホール》を使う等いくらでも作れます。

 

禁止行為に当たらない空撃ち

空撃ちでもルール上問題ないものもあります。

それは「強制効果」です。

サイバー・ドラゴン・コア》の召喚時効果は強制効果のサーチ効果ですが、デッキにサーチ先が存在しなくとも召喚したら発動します。

これも空撃ちではありますが、発動しますしルール違反でもありません。

この強制空撃ち発動に《灰流うらら》を相手が使ってきて、実はサーチ先ありませんでしたテヘペロ、となっても相手は文句を言う資格はありません。こっちはルール違反してないですからね。

言う必要もないと思いますが、空撃ちになるからと言って《サイバー・ドラゴン・コア》を召喚できなくなるということもありません。

 

空撃ちではない行為

一見空撃ちに見えそうな行為でも空撃ちではないパターンがあります。

フィールドには効果で破壊されない耐性を持つ《マジェスペクター・ラクーン》のみが存在する状態で《ブラック・ホール》を発動することは空撃ちにあたりません

効果で破壊できるモンスターがいないから明らかに破壊処理ができず空撃ちにも見えますが、空撃ちではありません。

 

基本的に空撃ちかどうかの判定は他のカードの効果の影響は考慮しません。(一部例以外あり)

 

状況は少し違いますが、何処かの誰かが言っていた「罠の発動を無効にできない状態でも発動を無効にしようとすることはできる」ってやつです。

効果で破壊できないカードを効果で破壊しようとすること等は問題ありません。

勿論、行為を禁止する効果、例えば《ライオウ》の「ドロー以外の方法でデッキからカードを手札に加えることはできない」等が効いている場合はサーチ効果の発動はできませんが。(ただし、《サイバー・ドラゴン・コア》のような強制効果の場合は発動します。)

他のカード効果は考慮しないといっても、《DNA改造手術》でアンデット族に変更されている元戦士族しかいない状態で《戦士抹殺》を発動はできませんが。まぁこれは言うまでもないことでしょう。

 

そして先程例外ありとしましたが、その例外は融合効果と儀式効果です。

これらは効果処理で素材を墓地へ送ったりリリースしたりしますが、効果を受けない状態のモンスターはそもそも素材としてカウントできません

例えば効果を受けない3体の《古代の機械魔神》しか自分の手札・フィールドにモンスターが存在しない状態で《古代の機械超巨人》を融合召喚しようと《融合》を発動することはできません。

少々特殊な例では《ガッチリ@イグニスター》と《ビットロン》のみが自分フィールドに存在する場合、《ガッチリ@イグニスター》の効果でそれらは1度効果破壊耐性がありますが、その耐性が消費されていない状態で《ダイプレクサ・キマイラ》を融合召喚するために融合素材を破壊して融合する《ラピッド・トリガー》を発動することもできません。

《ラピッド・トリガー》による破壊を何かしらの効果で身代わりにした場合は他の素材が破壊されるだけで融合召喚はできず終了になります。

《マシンナーズ・ギアフレーム》のように強制的に身代わりになることが分かっていても、素材モンスター自体に耐性があるわけではないので発動自体は可能です。

 

また、「○○○できる。」の部分のみが処理できない場合も空撃ちにはなりません。

この部分は処理実行が任意なので処理しないことを選択できるからです。

似た事案に《天声の服従》があります。

これは相手のデッキから指定名のモンスターを奪い取る効果ですが、該当するモンスターがいなかった場合はそれで終わりとなるだけで空撃ちにはなりません。まぁ相手のデッキ内容分からないですからね。

こういうものは「○○○だった場合」といった条件がちゃんと記載されているので空撃ちじゃないというのは明白でしょう。

 

ただ、自分のデッキ内容は分かるので先に挙げた《増援》の空撃ちは別の話です。

ですが、自分のデッキ内の状態が関わる効果でも、その一部だけが関与する効果は空撃ちになりません。

例えば《オルターガイスト・ピクシール》。

デッキの上から3枚をめくり、その中の『オルターガイスト』1枚を手札に、残りを墓地へ送ります。

この効果、一見デッキ内に『オルターガイスト』がないと空撃ちになりそうにも見えるかもしれませんが、そんなことはありません。

よく考えてみてください。自分のデッキの内容が分かるといってもデッキトップ3枚の内容に限定した場合その3枚が何か分かりますか?

トップ操作をするかデッキ自体が3枚しかない、トップ3枚に『オルターガイスト』があるかだけに限ればデッキ内の『オルターガイスト』ではないカードが2枚以下しかない場合くらいしか確定はできないはずです。

それにデッキ内に『オルターガイスト』があっても、トップ3枚に含まれていなかったらデッキ内にない場合と結果は変わりませんよね?

こういった自分の非公開領域の一部のみが関わる場合は空撃ち判定になりません。

めっさ雑に言えば、運ゲーになる処理は空撃ちにあたらないわけです。(3枚めくるのは必須なので発動時のデッキ枚数2枚以下では空撃ちです。これはまた別の問題。)

因みに『オルターガイスト』がヒットしなかった場合は3枚すべて墓地に送られます。

 

 

さて、長々と解説してきましたが、ややこしいのは不発周りかと思います。

とは言え基本的なルールはちゃんと整備されているので覚えること覚えてしまえば無敵です。

ではまた次回の講座で。既に次回開講が確定の模様。